慶應通信 合格レポート
課題概要:適用法規が存在しない場合,法の欠缺について
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刑事裁判,民事裁判を問わず,世に起こる事件の多くは法律によって裁かれるが,その事例に対して適当な法律の条文が存在しないことがある.裁判官は,「法に口無し」として適用すべき制定法の不備・欠缺を理由に裁判を拒否することはできない.刑事裁判の場合,民事裁判の場合についてそれぞれ,裁判において適用する成文法が存在しない場合に為されるべき対応を以下に論ずる.
刑事裁判において,適用する法律が不備・欠缺している場合,罪刑法定主義の原則に基づき,被告人は不処罰となる.立法府が予め成文化された法律や条例によって犯罪と刑罰の対応付けを規定し,刑罰権の発動を根拠付ける原則を罪刑法定主義といい,憲法は明文を以てこれを定める.日本国憲法第31条“何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない”.即ち,犯罪が行われるより以前に成文の法律で犯罪行為とそれに科す刑罰を定めることなく処罰することは出来ない.これによって,「成文化されていない事をしても罪にはならない」と市民の自由と尊厳が担保され,社会全体の効用は大きくなるだろう.
加えて,立法府たる国会は...