中央大学法学部通信教育課程 2020年 商法(総論・総則) 第2課題 C評価でした。
設問1
1.商業使用人の意義
商業使用人とは、特定の商人に従属して、商人の営業活動を補助する者である。商人に従属するとは、商人である営業主の指揮命令に服すること、すなわち雇用関係があることをいう。判例も、雇用関係の存在を要求している(最判昭和59・3・29判時1135号125頁)。これに対し、商人の家族や友人など必ずしも雇用関係にない者が商人の補助者として商人を代理することが少なくないことから、委任関係でも足りるとする見解がある。しかし、委任関係はあるが雇用関係のない者も商業使用人に含まれると解すると、独立の商人として一定の商人のために平常その営業の部類に属する取引の代理または代理商(27条かっこ書)との区別がつかなくなる。雇用関係なくして商業代理権が与えられている者には、商業使用人に関する規定を類推適用することで対処すべきであろうとも考えられる。
代表取締役、代表執行役など会社の機関として代表権を有する者は、会社と委任関係に立って(会社330条・402条3項)、独立の地位・権限が与えられており、会社と指揮命令関係にある商業使用人ではない。会社の使用人については、会社法総則に規定してい...