【問題】
1、2018年相続法(民法・相続編)改正により、配偶者相続人の居住権保護の規定が設けられているが、この内容について検討してください。
2、甲には妻乙、子A・B・Cがいるとき、甲が2019年9月1日に死亡した場合、相続開始後の相続人にはどのような選択権があるか、手続き・効果を含めて検討してください。
新・相続法
はじめに
本レポートは、相続法に関する二つのテーマについて取り扱っている。ひとつは、令和2年4月1日に施行された配偶者居住権の規定について第一部で取り上げる。
第二部では、相続の選択権、手続き、効果について検討していく。
第一部 配偶者居住権
配偶者居住権は、平成30年相続法改正によって導入された制度である。新設された背景には、生存配偶者の保護を目的としている。
1、概要
配偶者居住権は、原則、終身の建物利用権を与えるものである。これはあくまでも利用権であり、当該の配偶者の死亡によってその権利は消滅するが、生存している間は、配偶者にとって利用は認められるのである○。
2、事例と問題点
夫A・Bの夫婦は、Aの所有する不動産(甲土地・乙建物)に住居していた。Aが死亡して相続が開始し、Aの相続人は、妻Bと子のCの2名である。相続財産は、甲土地1500万円、乙建物500万円、預貯金2000万円である。BとCで法定相続分各々1/2による遺産分割をすることになった。
Bが住み慣れた甲土地、乙建物の不動産への住居を希望する場合、Bは不動産全部の所有権2000万円...