社会と情報最終課題
インドの情報政策
インドの情報政策
インドは年間50億ドル近い外貨を稼ぎ出すソフトウェア輸出大国である。ではインドはどのようにして、このようなIT大国になったのであろうか。
インドは、国での政策として90年以降にソフトウェア産業の成長を促すため、ソフトウェア輸出用の機器輸入に対する関税率を110%から25%におお幅に減税し、継続的に輸入関税を引き下げ続けた。また外資に対する40%の出資制限も撤廃し、国を上げてITにより経済的発展を求めてきた。こうした政策の他に、インドでは高等教育の発達を目指し、多くの有能なSEを育てた。もともと低賃金で英語が堪能なうえに、しかも有能であるという強みを手に入れたインドが他国に注目され、ITサービスの輸出において発達するということは当然なのかもしれない。しかしここまで急成長をとげたのには他にもまだまだ理由があるのではないか。
インドのITサービス輸出は、プログラム・コーディングの下請けなどのロー・エンド業務が多かった。しかし今では、アプリケーションソフトや通信ソフトなどのソフトウェア開発が主流である。アプリケーションソフトの輸出がここまで進んだ理由はアメリカとの関わり合いが大きい。90年代初頭ではインドのITサービスは、SEが客先に出向いてプログラミング作業を行うオンサイト方式が中心であった。しかし、インターネット普及が拡大した90年代半ば頃から客先に出向かずに作った物をインターネット経由で納品するというオフショア方式により、SEの移動・滞在にかかる経費・時間を節約することが可能になり、海外からのインドへの発注の動きを格段に加速させた。インドのITサービスの輸出先は圧倒的に米国が多い。これは、上記で述べたように世界最大のITサービス市場であるアメリカがSE不足や人件費の上昇の対応としてインドの発注を拡大した物である。また、アメリカとインドの時差は12時間であり、アメリカの夜にインドで向けて発注したものを、インドの昼の時間で受け取って仕事をし、アメリカの朝の時間に納品するという時差を利用した24時間体制によるソフトウェア開発ができ、この面においてもインドは他国よりもソフトウェア産業において有利なのである。こうした背景からインドのITサービスは、アメリカ市場やアメリカ企業との強い結びつきにより飛躍的な発展を遂げたと言える。
インドは、このようにITにより高度な経済成長を続けている。しかし、そのITの恩恵を受けている人はごく一部であり、恩恵を受けた何でも買える富裕層が1億人いるのに対して、食べる物にも困り、字の読み書きもできない貧困層が6億人というインドの総人口の6割をしめている。今後もITサービスだけが突出して成長を続けた場合、今以上に貧富の差が生まれてしまう。つまり、ITサービスだけで経済の成長を維持しても国内の幅広い階層の所得を押し上げることは不可能であるのだ。
インドでは、いままでほとんどが貧困層であったうえに、低所得で雇用が安定しない未組織部門の就業者が増え続けている。こうした国民の大多数をしめる生活水準が向上しない貧困層から、ITサービス部門業者のみが所得をのばすことに対する反感が生まれてしまう。このITサービス業界のへの反感から、低所得層が左翼政権の支持をさらに加速させれば、インドが91年以降進めてきた自由化・規制緩和路線を足踏みさせ、インドの急激な経済の成長を失速させる事態を招きかねない。
このような事態を防ぐには、あらゆる階層での全体的な経済の発展をする必要がある。インドの
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インドは年間50億ドル近い外貨を稼ぎ出すソフトウェア輸出大国である。ではインドはどのようにして、このようなIT大国になったのであろうか。
インドは、国での政策として90年以降にソフトウェア産業の成長を促すため、ソフトウェア輸出用の機器輸入に対する関税率を110%から25%におお幅に減税し、継続的に輸入関税を引き下げ続けた。また外資に対する40%の出資制限も撤廃し、国を上げてITにより経済的発展を求めてきた。こうした政策の他に、インドでは高等教育の発達を目指し、多くの有能なSEを育てた。もともと低賃金で英語が堪能なうえに、しかも有能であるという強みを手に入れたインドが他国に注目され、ITサービスの輸出において発達するということは当然なのかもしれない。しかしここまで急成長をとげたのには他にもまだまだ理由があるのではないか。
インドのITサービス輸出は、プログラム・コーディングの下請けなどのロー・エンド業務が多かった。しかし今では、アプリケーションソフトや通信ソフトなどのソフトウェア開発が主流である。アプリケーションソフトの輸出が...