(2020)慶應通信経済学部専門科目「国際貿易論」で合格をいただいたレポートです。反グローバリズムと日本の国際通商戦略がテーマです。
※レポート作成の参考としてご利用ください。合格を約束するものではありませんので、丸写しはご遠慮願います。
'20国際貿易論
はじめに
課題図書『揺らぐ世界経済秩序と日本』では,反グローバル化と保護主義の狭間で交錯する世界経済の行方が,さまざまな論点から考察されている。WTO(世界貿易機関)の存在意義や,本書の出版後にEUから「合意なき離脱」を果たしたイギリスの経済の行く末,また,アメリカのトランプ大統領が仕掛ける貿易戦争,そしてそれに相対する中国が目論む国際化など,近年の地球上のあらゆる経済的背景を解説している。
本稿では,第1章から第16章までの中から,秋山が記した第9章「トランプ・リスクと日本企業の北米戦略」を選択し,世界の経済秩序がどのように変化し,それが日本の国際通商戦略にどのように作用することが考えられるのかを論じる。しかしながら,当該図書は,初版が2019年11月であり,本年に入って勃発した新型コロナウイルス感染症拡大に関する対応については記されるはずもなく,本稿執筆時点の状況と乖離している部分が感じられるのは否めない。この点を鑑みつつ,できる限り本書と現状との差異を埋めることを試みたい。
1)トランプ政権がもたらすリスク
2017年,第45代アメリカ合衆国の大統領にド...