(1)三角合併とは
三角合併とは、「ある会社が吸収合併をする際に、消滅する会社の株主に、自ら(子会社)の株式ではなく、その親会社の株式を対価として交付する合併」である。つまり、B社(存続会社)とC社(消滅会社)が合併する際、C社の株主に合併の対価として、B社の完全親会社A社の株式を交付する制度である。子会社による親会社株式の取得は、会社法においても禁止されているが、例外的に子会社が他の株式会社の組織再編行為により親会社株式を割り当てる場合、および子会社が行う組織再編行為に際して親会社株式の割り当てをするために取得する場合にも、親会社株式の取得が認められ、子会社による親会社株式を取得できる範囲が拡大される(会社法800条)。
(2)なぜ、このような合併方式があるのか
三角合併はもともと、米国で生まれたM&Aの手法だ。米国では州ごとに法律が違い、州と州とを跨ぐ合併は法律の違いから困難な場合があった。そこで、1967年に三角合併がデラウェア州で解禁され、今や国際的な企業再編の有効な手段となっている。
この三角合併という手法は、2006年5月に施行された会社法に盛込まれたいわゆる「合併等対価の...