投資の世界

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    資料紹介

    (1)投資の世界
     
     理論的にも、実務的にも、投資の過程を2つの部分に分けることができる。その2つとは、ポートフォリオ・マネジメント portfolio management(運用)と証券分析である。ポートフォリオというのは、金融機関・機関投資家などが所有する各種の金融資産の一覧表、または、安全性や収益性を考えた投資の組み合わせであり、ポートフォリオ・マネジメントとは、投資家の選好とニーズにあわせて選んだ証券をポートフォリオに構成し、そのポートフォリオを管理・監視し、その成果を評定していく作業である。一方の証券分析とは、ある証券が市場において適切に評価されているかどうか判断しようとする試みである。つまり、不適切な価格がついている証券を探す試みである。
     
     ① リスクとリターンのトレードオフ 
     このように投資の過程があるが、投資家がとりうる簡単な戦略の1つは、資金を銀行に預金してしまうことである。この戦略にはいくつかの長所がある。安全であり、特別な専門知識を必要とせず、労力も少なくてすむことである。
     しかし、投資家がある程度のリスクを負担しようということを考慮しようというのであれば、期待利益(リターン)を高めることができる。このことを、リスクとリターンのトレードオフ (risk-return trade-off)という。そしてこれには合理的なポートフォリオ行動が対応して、次にこのリスクとリターンのトレードオフとそれにともなう合理的なポートフォリオ選択の本質を述べていきたいと思う。
     現代ポートフォリオ理論 (modern portfolio theory(MPT))のエッセンスとなるのは、効率的分散 (efficient diversification)である。その根底となる考え方は、リスクの増加を受け入れ、それを補うことのできるようなリターンを要求する投資家、すなわちリスクを回避する投資家にとっては、リスクを増大させることなくリターンを高めるようにポートフォリオを再構築し、より多くの富を得る可能性があるというものである。またわれわれが投資をするときには、自然とこのように考えているのである。
     効率的分散の理論は、資産配分アセット・アロケーション(asset allocation) の問題に応用する。アセット・アロケーションとは、投資家の目的と制約を所与としたうえで、最良のポートフォリオを達成するためには、様々な種類の資産 — 株式、債券、預金、不動産、海外の証券、派生証券、金、宝石、美術・骨董品等々にどれだけ投資すべきかという選択の問題である。
     
     ② アクティブ運用とパッシブ運用
     パッシブ運用 (passive management)とは、市場予測の高い能力や不適切な価格の証券をみつけ出す優れた能力によって他の投資家を凌ごうとするのではなく、多数の証券に十分に分散化されたポートフォリオを保有することである。よって、市場動向を予測しようとしたり、あるいは割安株・割高株を見つけようとしたりすることはしない。効率的分散それ自体が目的である。だからといって、最良のポートフォリオ構成をみつけるアプローチのいかんによっては、パッシブ運用はかなり手の込んだものとなりうるので、決して簡単なことではない。最適な分散方法を見いだすためにはかなり複雑なプロセスがあり、高度なテクニック(手法)と多くの情報入力が必要とされる。よって、コンピューターの助けなくしてはありえないと思われる。
     アクティブ運用 (active management)には2つの基本的

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    (1)投資の世界
     
     理論的にも、実務的にも、投資の過程を2つの部分に分けることができる。その2つとは、ポートフォリオ・マネジメント portfolio management(運用)と証券分析である。ポートフォリオというのは、金融機関・機関投資家などが所有する各種の金融資産の一覧表、または、安全性や収益性を考えた投資の組み合わせであり、ポートフォリオ・マネジメントとは、投資家の選好とニーズにあわせて選んだ証券をポートフォリオに構成し、そのポートフォリオを管理・監視し、その成果を評定していく作業である。一方の証券分析とは、ある証券が市場において適切に評価されているかどうか判断しようとする試みである。つまり、不適切な価格がついている証券を探す試みである。
     
     ① リスクとリターンのトレードオフ 
     このように投資の過程があるが、投資家がとりうる簡単な戦略の1つは、資金を銀行に預金してしまうことである。この戦略にはいくつかの長所がある。安全であり、特別な専門知識を必要とせず、労力も少なくてすむことである。
     しかし、投資家がある程度のリスクを負担しようということを考慮しようというのであれ...

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