ケアマネジメントについて
わが国において「ケアマネジメント」という言葉は、1994年6月に厚生省の「高齢者介護・自立支援システム研究会」が出した報告書「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」以来、公的介護保険の議論とともに、よく使われるようになったという経緯がある。しかしこの報告書が出る以前から、在宅介護支援センターで提供されるサービスの中心にケアマネジメントは位置づけられており、保健師、ソーシャルワーカーによっても、それは行われてきているのである。 1994年の在宅介護支援センター実施要綱の改正で、「個別処遇計画の策定(ケースマネジメント)等の技術に関し、自己研鑽に努めるものとする」と書かれており、「ケアマネジメント」という用語が公的に使われている。また同年6月、保健所法が廃止され地域保健法が成立。保健師の機能としてケアコーディネーションが挙げられている。
ケアマネジメントとは、福祉・保健・医療の各種サービスと近隣の人やボランティアなどのインフォーマルな資源を結び付けることで、クライアントの在宅での生活全般を支えていくことである。地域全体でクライアントやその家族を支えていこうという方法であり、地域医療や地域福祉の考え方の中でその必要性が叫ばれている。
ともあれ、わが国において要援助者への支援の仕組み、システムとして、ケアマネジメントを始めて導入したのは、2000年ら始まった介護保険制度の施行からである。介護保険においてケアマネジメントを導入した目的としては、①利用者の心身状況に応じた介護サービスの一体的提供②高齢者自身によるサービスの選択を現場レベルで担保するといった仕組みとしてケアマネジメントを導入したといえる。これは、介護保険が従来の医療・保健・福祉の分野でそれぞれ提供されていた介護関連サービスを制度的・財政的に一元化し、介護の枠組みの元に一体的に提供するといったものであることからきている。
わが国ではケアマネジメントというと高齢者福祉(とりわけ介護保険)といった風潮が強いように思われる。そもそもケアマネジメントは、1950年代にアメリカで精神障害者への地域支援のため、ケアや支援の継続性の確保が必要となりサービスを調整する役割が重要視されたことから生まれ、その後イギリス等の様々な国で導入されることとなった。したがって、日本では介護保険の中にケアマネジメントが位置づけられたが、イギリスやアメリカには介護保険はなく、ドイツには介護保険はあるもののケアマネジメントは導入されていない。介護保険=ケアマネジメントといった不可分一体のものではないといったことを念頭におく必要がある。
しかし、わが国において介護保険=ケアマネジメントといった風潮が強いのは、介護保険制度にケアマネジメントを閉じ込め規定しているからだと思われる。ケアマネジメントは、縦割りの制度から人間を見るこれまでのサービス提供ではなく、人間を中心に統合されたサービスを提供することが重要といった認識から始まっている。介護保険は医療・保健・福祉の介護サービスを統合した制度であるが、この制度にケアマネジメントを導入したというのは、制度の中のサービスのマネジメントと考えられ、様々な制度や資源をマネジメントするといったそもそものケアマネジメントの成り立ちと矛盾しているように感じられる。
そういった流れの中で、現在も介護保険制度ではケアマネジメントが運用されているが、欠点もいろいろと見られ始めてきた。制度の中のサービスのマネジメントといった観念で運用されている代償といえるのか判断は難しいが
ケアマネジメントについて
わが国において「ケアマネジメント」という言葉は、1994年6月に厚生省の「高齢者介護・自立支援システム研究会」が出した報告書「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」以来、公的介護保険の議論とともに、よく使われるようになったという経緯がある。しかしこの報告書が出る以前から、在宅介護支援センターで提供されるサービスの中心にケアマネジメントは位置づけられており、保健師、ソーシャルワーカーによっても、それは行われてきているのである。 1994年の在宅介護支援センター実施要綱の改正で、「個別処遇計画の策定(ケースマネジメント)等の技術に関し、自己研鑽に努めるものとする」と書かれており、「ケアマネジメント」という用語が公的に使われている。また同年6月、保健所法が廃止され地域保健法が成立。保健師の機能としてケアコーディネーションが挙げられている。
ケアマネジメントとは、福祉・保健・医療の各種サービスと近隣の人やボランティアなどのインフォーマルな資源を結び付けることで、クライアントの在宅での生活全般を支えていくことである。地域全体でクライアントやその家族を支えていこうと...