バリアフリーとはなにか
バリアフリーの定義
バリアフリー(barrier free)とは、「バリア(障壁)」と「フリー(自由な、開放された、除去する)」を組み合わせた造語で、「障壁がない」という意味で使われる。歴史的には1960年代以降、アメリカで身体障害者に対する建築物等における物理的な障壁を排除するという意味で広まった。もともとは建築用語として建物内の段差解消などの物理的障壁の除去という意味で使用されていた。建築物のバリアフリー設計標準がまとまった形でつくられたのは、1961年のアメリカ標準である。その後ヨーロッパにも紹介され、各国にも大きな影響を及ぼした。障害のために生ずる問題はさまざまであり、建築物や都市環境だけがバリアではない。そのため、バリアについての議論がしだいに広がり現在ではバリアフリーをより広義にとらえ、すべての人の社会参加を困難にしている物理的、社会的、制度的、心理的な、あらゆる分野や領域での障害の除去という意味で用いられている。
1995年の障害者白書では、製品から建築物、都市環境に至るまで、物のデザインに関わる「物理的バリア」、社会の障害者へのさまざまな意味での差別である「社会的バリア」、われわれ自身の心の中にある差別の「意識のバリア」、そして、差別意識のあるなしに関わらず、情報の提供手段などで結果として生ずる「文化・情報のバリア」が課題であると指摘している。これらすべてを取り除かなければ真のバリアフリーは達成されない。
バリアフリーに関する法律
バリアフリーを実現するために、国や自治体をはじめとする機関では法律や条令や要綱など各種の基準を用いている。
1990年にアメリカで制定されたADA法は雇用、交通、建築物、情報などに対して障害を理由とする差別を禁止する権利法である。同様の法律はイギリスやオーストラリアでもつくられており、DDA(Disabilities Discrimination Act)と呼ばれている。日本では多くの地方自治体が国に先駆けてバリアフリーを推進するための整備要綱や条例などの基準を定め、福祉のまちづくりに取り組んできた。
1994年に制定された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」は特にADA法の成立がきっかけとなった。不特定多数の者が利用する建築物(特定建築物)の所有者に対し、障害者が円滑に利用できる措置を講ずる努力を課し、当該措置に関する判断基準を定めるとともに、都道府県知事等による指導および支援のための措置等について規定している。
デパート、ホテル等不特定多数の者が利用する建築物(特定建築物)の建築主(特定建築者)は、出入口、廊下、階段、便所等を高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするための措置を講ずるように努めなければならないものとする。
建設大臣は、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするための措置に関し、特定建築主の判断基準(基礎的基準及び誘導的基準)を定め公表するものとする。
基礎的基準とは高齢者、身体障害者などの利用を不可能としている建築物の障壁を排除する基準を示し、誘導的基準とは、高齢者、身体障害者などが特段の不自由なく建築物を利用できる水準を示すものである。2002年に改訂され、特定建築物については、学校・工場・事務所・共同住宅などに範囲が拡大され、老人ホームなどの特別特定建築物について最低限の基準を示した「利用円滑化基準」に適合することが義務づけられた。これにより、より一層のバリアフリーの実現が図られ
バリアフリーとはなにか
バリアフリーの定義
バリアフリー(barrier free)とは、「バリア(障壁)」と「フリー(自由な、開放された、除去する)」を組み合わせた造語で、「障壁がない」という意味で使われる。歴史的には1960年代以降、アメリカで身体障害者に対する建築物等における物理的な障壁を排除するという意味で広まった。もともとは建築用語として建物内の段差解消などの物理的障壁の除去という意味で使用されていた。建築物のバリアフリー設計標準がまとまった形でつくられたのは、1961年のアメリカ標準である。その後ヨーロッパにも紹介され、各国にも大きな影響を及ぼした。障害のために生ずる問題はさまざまであり、建築物や都市環境だけがバリアではない。そのため、バリアについての議論がしだいに広がり現在ではバリアフリーをより広義にとらえ、すべての人の社会参加を困難にしている物理的、社会的、制度的、心理的な、あらゆる分野や領域での障害の除去という意味で用いられている。
1995年の障害者白書では、製品から建築物、都市環境に至るまで、物のデザインに関わる「物理的バリア」、社会の障害者へのさまざまな意味...