中央大学通信教育2018年度 評価はBになります。
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第4課題
⑴
1,違法性阻却事由としての集団的自衛権
国連憲章51条は,武力攻撃が発生した場合に,直接の被害国による個別的自衛権に加
え,集団的自衛権を認めており,慣習国際法上の権利としても認められている。これらは,
武力不行使原則(同2条4項)の例外をなすものであり,相手国の違法な武力攻撃に対す
る自衛のための措置として違法性が阻却されるのである。本問におけるA国の行為は武力
不行使原則及び不干渉原則(同条7項)に違反し,国際法上違法と評価され得るが,C国
との関係で集団的自衛権の行使として正当化されると,違法性が阻却される。
2,集団的自衛権の性質・要件
学説上,集団的自衛権については,①個別的自衛権の共同行使であるとする説,②他国
を防衛する権利であるとする説,③他国への攻撃にかかる自国の死活的利益を防衛する権
利であるとする説が主張されてきた。国際司法裁判所(ICJ)は,ニカラグア事件本案判
決(ICJ Reports1986 ,p .14 )において,②の立場に依拠した上で,集団的自衛権の
要件を提示している。
判例が示す集団的自衛権の要件は,①武力攻撃が発...