社会問題となっている「自殺」について、自分なりの問題意識と問題の捉え方に留意しつつ、その内容について論じなさい。
厚生労働省の人口動態統計による自殺者数の長期的な推移をみると、年間自殺者数は金融機関の破綻が相次いだ98年から14年連続で3万人を超えるなど深刻な状況であった。政府は自殺対策を強化し、平成18年に「自殺対策基本法」を成立させ、この基本法に基づき、自殺対策の指針として自殺総合対策大綱を定め、平成28年4月には地方自治体に自殺対策計画の策定を義務付ける改正自殺対策基本法を施行した。その後、平成22以降は自殺者数3万人を下回るなど減少しているものの、30歳未満の若年世代及び中高年の男性の自殺が増加するなど深刻な状況は続いている。
近年では、やや自殺者数は安定化のきざしがみえているが、自殺は心身の病気など健康問題、過重労働環境や仕事上の問題、家庭問題、多重債務などの経済的な問題など、様々な社会的要因が複雑に関係しており、自殺対策には総合的な推進が重要であり、国民が健康で生きがいを持って暮らすことができる社会の実現のため、自殺を個人の問題ではなく、社会全体の問題としてとらえ、相談・支援体制の整備など地域の実情に応じた社会的な取組を実施することで、「生きづらい社会」から「暮らしやすい社会」へ...