1、はじめに
我が国において薬物犯罪という場合、覚せい剤事犯(覚せい剤取締法)、麻薬事犯(麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法及びあへん法)、有機溶剤乱用事犯(毒物及び劇物取締法)等を指すのが一般的であるが、最近では、これまで論じられてきたいわゆる、「薬物犯罪」に加え、危険ドラッグが問題視されている。危険ドラッグとは、規制薬物(覚醒剤、大麻、麻薬、向精神薬、あへん及びけしがらをいう)又は指定薬物(医薬品医療機器法第2条第15条に規定する指定薬物をいう)に化学構造を似せて作られ、これらと同様の薬理作用を有する物品をいう。規制薬物及び指定薬物を含有しない、物品であることを標ぼうしながら規制薬物又は指定薬物を含有する物品を含むものである。危険ドラッグのうち、幻覚などの作用を有する物質に対しては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」により、指定薬物及びこれを含有する物は、医療用等の一定の場合を除き、製造、輸入、販売、所持、使用、購入、譲受け等が禁止されており、2016(平成28年) 4月1日現在、2,340種類の薬物が指定されている。
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