衛生行政の展開
第1項 健康づくり・疾病予防対策の進展
第一次石油危機後、我が国経済は安定成長に移行し、過大な社会保障費用負担が懸念されるようになってきた。こうして公衆衛生分野でも従来の行政施策を踏襲するだけでなく、国民の生活環境の変化・健康観の変遷を背景とした保健需要の多様化に対処し、治療から予防へ、更に積極的な健康対策を導入することが考えられるようになった。
昭和52年、渡辺厚相は、「1億国民総健康づくり」を提唱した。これを受けて、昭和53年度の厚生省予算の最重点項目として、「国民健康づくり対策」が取り上げられ、国民の総合的な健康づくりを目指して積極的な対策が講じられることとなった。その...