CSR報告書

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    資料紹介

    『はじめに』
    本レポートでは、CSRの定義に触れ、その上で具体事例(松下電器産業株式会社)を取り上げ、当社のCSRの疑問点、問題点を考えながら、自分自身の意見を述べたいと思う。
    1.CSRの定義・範囲
    現代、CSRの定義やこの言葉の示す範囲は、実に様々な捉えられ方がされている。企業が以前から行ってきたメセナ活動や環境対策と今日のCSRはどう違うのか。
    日本ではCSRは「企業の社会的責任」と訳されており、これが日本でCSRに対する認識を狭めているのではないか、と私自身は考えている。日本人の中には、「社会的責任(CSR)≒社会貢献≒ボランティア」という固定観念を持っている人も意外に多い。このように、日本では依然として「企業の社会的責任」は、企業による厚い社会保障、終身雇用、社内教育などの従業員に対する責任、利益を上げるという株主に対する責任という狭義の見方で語る人も少なくない。
    しかし、現在世界中で論じられているCSRは従来のこのような視点とは違い、より広義に解釈されている。このような議論が湧き上がって来た背景には、グローバリゼーションの伸展に伴い、社会における企業の役割が増大する中で、環境問題だけでなく社会問題の視点からも持続可能な発展を求める潮流があった。これらの潮流は、NGOを主体として起こり、インターネットの発展が更にこのような活動を世界中に広める役割を果たし、企業が無視出来ないほど発達していった。企業が社会に与える影響は実に大きくなっており、そのSocial Responsibilityも同様に拡大しているのである。
    したがって、今日のCSRは、従来企業の責任として認識されてきたコンプライアンスの遵守や、社会に有用な商品やサービスの提供、利益の確保や納税等に加えて、企業と利害関係を有する多様なステイクホルダー(株主、顧客、従業員、地域社会、取引先など)に対する情報開示やコミュニケーション、企業活動のプロセスに社会的公平性や環境への配慮などを組み込むことが求められており、企業はその結果、経済的パフォーマンスだけでなく、社会的・環境的パフォーマンスの向上を目指すことが要求されているのである。
     ただ、以上のような潮流のもと、日本企業がCSRへ取り組む姿勢は、欧米諸国と比べると消極的かつ受動的である。なぜならば、日本企業のCSRへの対応は、日本国内の市民の批判や、経営者の高い志の為に行われたのではなく、グローバル化に伴う、海外のNGOからの批判や監視、SRIへの対応など、グローバルな潮流に合わせた形で生まれたものであり、内発的な動機付けが希薄だからである。この点は、日本におけるCSRの発展を語る上では欠かせない重要なポイントである。
     2.具体事例(松下電器産業株式会社)
    (1)松下電器産業株式会社について
    松下電器産業株式会社(以下、松下電器)は1918年に創業した、家電用電子機器、電化製品、FA機器、情報通信機器、および住宅関連機器等にいたるまでの開発、販売、サービスを行う総合エレクトロニクスメーカーである。従業員数は2006年3月末時点で全グループ会社(638社)合計33万4402名おり、日本全国、世界各地に拠点を持つ、日本有数の大企業であり、また多国籍企業である。
    創業者である松下幸之助は、創業11年目にあたる1929年(昭和4年)に、「営利ト社会正義ノ調和ニ念慮シ、国家産業ノ発達ヲ図リ、社会生活ノ改善ト向上ヲ期ス」との最初の綱領を策定し、経営の基本方針とした。コンプライアンス、そして、CSRの理念をシンプルに表現しているといえよう。ま

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    『はじめに』
    本レポートでは、CSRの定義に触れ、その上で具体事例(松下電器産業株式会社)を取り上げ、当社のCSRの疑問点、問題点を考えながら、自分自身の意見を述べたいと思う。
    1.CSRの定義・範囲
    現代、CSRの定義やこの言葉の示す範囲は、実に様々な捉えられ方がされている。企業が以前から行ってきたメセナ活動や環境対策と今日のCSRはどう違うのか。
    日本ではCSRは「企業の社会的責任」と訳されており、これが日本でCSRに対する認識を狭めているのではないか、と私自身は考えている。日本人の中には、「社会的責任(CSR)≒社会貢献≒ボランティア」という固定観念を持っている人も意外に多い。このように、日本では依然として「企業の社会的責任」は、企業による厚い社会保障、終身雇用、社内教育などの従業員に対する責任、利益を上げるという株主に対する責任という狭義の見方で語る人も少なくない。
    しかし、現在世界中で論じられているCSRは従来のこのような視点とは違い、より広義に解釈されている。このような議論が湧き上がって来た背景には、グローバリゼーションの伸展に伴い、社会における企業の役割が増大する中で、...

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