宗教は、人間の生活・風土・気候に深く関わるものであるが、それは建築も同様である。建築は、人類誕生以来の永きに渡って我々の生活に密着し、風土や気候の影響を受けてきた。そうであるならば、建築と宗教が深く関係していることは必然である。
建築は、信仰を支える空間を作り出してきた。モスク、マドラサ(イスラム諸学を学ぶ寄宿学校)。宗教活動の場が数多く作られた。また同時に建築は、美意識の表出の場でもあった。「宗教的な美しさ」と言われる様に、仏教、キリスト教、イスラム教など、それぞれが、それぞれに「よし」とする美しさの概念がある。そして、その概念は、建築物や工芸品、装飾方法に色濃く現れる。イスラム教徒の住む社会では、人々は、同じ教えの下で同じ世界観を持ち、同じ社会の仕組みの下で長年に渡って社会生活を営んできた。いうなれば、イスラム教を中心にした一種の共同体であるが、そのイスラム教を通じて様々なものを共有する過程で、美しさに対する共通意識も形成されていったのではないだろうか。
本レポートでは、イスラム建築とイスラム教の関わりを主に「美」の観点から考察していく。
イスラムの建築美
1.はじめに
宗教は、人間の生活・風土・気候に深く関わるものであるが、それは建築も同様である。建築は、人類誕生
以来の永きに渡って我々の生活に密着し、風土や気候の影響を受けてきた。そうであるならば、建築と宗教が
深く関係していることは必然である。
建築は、信仰を支える空間を作り出してきた。モスク、マドラサ(イスラム諸学を学ぶ寄宿学校)
。宗教活
動の場が数多く作られた。また同時に建築は、美意識の表出の場でもあった。「宗教的な美しさ」と言われる
様に、仏教、キリスト教、イスラム教など、それぞれが、それぞれに「よし」とする美しさの概念がある。そ
して、その概念は、建築物や工芸品、装飾方法に色濃く現れる。イスラム教徒の住む社会では、人々は、同じ
教えの下で同じ世界観を持ち、同じ社会の仕組みの下で長年に渡って社会生活を営んできた。いうなれば、イ
スラム教を中心にした一種の共同体であるが、そのイスラム教を通じて様々なものを共有する過程で、美しさ
に対する共通意識も形成されていったのではないだろうか。
本レポートでは、イスラム建築とイスラム教の関わりを主に「美」の観点から考察して...