本稿は、教員の多忙化の現状を踏まえて、教員の勤務条件のあり方について考察しようとするものである。
以下に、その構成を簡単に示したい。まず、教員の仕事内容をいくつかの特徴から整理し、多忙化との関係をみる。続いて、平成18年に群馬県で行なわれた教員の多忙化に関する調査結果を参照しながら、教員の多忙化の実態を知る。最後に、そのような現状を踏まえた上で、どのような仕事の形が望ましいか考察を行なうこととする。
教員の多忙化の現状を踏まえて、
教員の勤務条件のあり方について考察しなさい
1.はじめに
―教員と多忙化―
学校はどのような場所であろうか。学校は企業のように利潤追求を目的と しない。学校
は 、子 ど も た ち に 教 育 サ ー ビ ス を 提 供 し 、
「 人 を 育 て る 」こ と を 目 的 と す る 場 所 で あ る 。学
校は多くの関係者に支えられて存在している。児童・生徒、保護者や教育委員会、納税者
で あ る 国 民 。 し か し 同 時 に こ れ ら の 関 係 者 か ら 、 学 校 は 評 価 さ れ て い る と も い え る 1 。「 人
を育てる」場所としての学校。その存在意義が問われている。
その中心にいるのは教員だと言えよう。教員は日々の学校生活の中で多くの時間を生徒
と共に過ごす。そこでは、授業での学習指導だけではなく子どもの人格形成に関わる指導
も行なわれる。教員には、担当教科の知識・技能だけではなく、子どもへの深い理解や教
職への熱意、高い人間性など、多様な資質が求められる。それらを土台として日々の職務
を行なうのである。
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