学校教育で正面から「遊び」とりわけ「伝承遊び」を教材化するとき、どのような配慮の下に進める必要があるのかについて考察を試みました。
具体的には、生活科における「遊び」の導入について、遊びが持つ諧謔や風刺の精神等をゆとりとして受け止めつつ、しかも知的なものに洗練して人を育てる姿勢をもつようにし、カリキュラム化する必要があると述べています。
「伝承遊び」授業化の問題とその視点
―子どもの「自立」に培う「総合学習―生活科」実践のために―
Ⅰはじめに
この論文では、学校教育で正面から「遊び」とりわけ「伝承遊び」を教材化するとき、どのような配慮の下に進める必要があるのかについて考察を試みている。具体的には、生活科における「遊び」の導入について、遊びが持つ諧謔や風刺の精神等をゆとりとして受け止めつつ、しかも知的なものに洗練して人を育てる姿勢をもつようにし、カリキュラム化する必要があると述べている。
Ⅱ遊び考
子どもの自立性を尊重する必然性と実践化に必要な配慮を提起するにあたり、語義から見たあそびと人間本性に根ざす「遊び」の研究という視点から、「遊び」を人間の本性と結ぶ考え方を示している。
Ⅲ伝承遊びの位置
伝承遊びとは、古くから民間で伝えられてきた遊びで、主として子どもたちによって維持されているものである。柳田国男の民族学の研究によると、今日「伝承遊び」は子どもと共に街角や村の空き地から消え、幼児教育を中心として伝えられている。書物やテレビなどの媒介を通じて伝えられているのは問題であるが、その存在さえ意識されない危...