健康・スポーツ

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    現在の日本は近代以前と比較し、経済的にも、社会的にも非常に豊かに、贅沢になった。現代の日本人は高度経済成長により経済的、時間的に余裕が生じ、健康への関心が高まり、運動のためにお金や時間をかけより健康を求めるようになった。良い健康とはWHO(世界保健機構)憲章では、「単に病気ではないというだけでなく、身体的・精神的・社会的にも良好な状態である」とされており、日本でもこの健康規定にならってたくさんの人々が運動やスポーツに取り組んでいる。では、近代以前の日本の健康観とはどのようなものであったのか。歴史的社会背景や、食事における栄養面などから書いていきたいと思う。

     健康に関して、鎌倉初期(1212)鴨長明の『方丈記』に一部記載されている。しかし初めて健康についてのみ書かれている本を発行したのは貝原益軒(1630-1714)の『養生訓』である。貝原益軒は江戸前期の福岡潘の儒学者であり、著書は長寿を全うするための身体の養生だけでなく、精神の養生も説いている。貝原が述べる養生とは、儒教思想の立場から、生まれ持った人の気を、和平に養生しながら生きる術である。貝原は長生きこそが最大の幸福で、養生を行...

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