人は加齢と共に様々なトラブルを抱えることとなる。日頃、活性酸素や紫外線、重力などの影響を受ける私たちは「見える老化」として身体つきや皮膚の衰えに悩まされ、「気が付く老化」としては集中力や運動能力の低下に気付き、「見えない老化」では内臓の老化が進み免疫系などの身体の内部環境を維持する各系で知らぬ間に老化が進んでいる。
しかし、私たちは皆、健康な状態でありながら長生きしたいと望んでいる。各器官の老化の進行を抑制するために、私たちは何をすればよいのだろうか。それでは、各分野ごとに老化の原因と対処法について見ていきたい。
<動脈硬化>
私たちの身体は、年を重ねると共に血管も徐々に進む。若い頃はきれいな壁の血管であっても、年を取ると血管の壁が硬くなったり、脂肪でドロドロになるなどしてくる。症状は様々であるが、血管の壁が厚くなると血液の通り道が狭くなる。これが動脈硬化である。生活習慣病は動脈硬化の悪化によるものが多く、日本の死亡原因の上位を占める心臓病や脳卒中もこの生活習慣病の中に含まれる。従って、動脈硬化の進行をできるだけ抑制することが重要となってくる。
血管中でできた血栓による心筋梗塞や脳梗塞などを阻止するためには、動脈硬化を進行させる危険因子「喫煙」「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」「肥満」を予防することが効果的である。動脈硬化の進行を防ぐことは同時に血管の老化の進行を防いでいることにもなり、これらは日頃の食生活に気を配ることで十分に対応できる。具体的には、健康的な生活習慣を身につけることが最も安易で効果的な予防策と言える。適正な睡眠時間を取り、朝食を毎日食べ、間食をしないこと等が挙げられる。血管を若返らせるには、適度な運動をすることだけでは限界があり、食事療法も必須となる。総摂取エネルギーを適正値に近づけるためにも食べ過ぎないこと、栄養バランスを考えた食事を取ることは私たちにもできることである。
血管の老化の進展には食生活や運動不足などの生活習慣が大きく関係している。どのような運動をどの程度、どのくらい行うのが良いか、自分にあった方法をきちんと見つけることが大切である。栄養素は、炭水化物60%、タンパク質20%前後、脂肪20%前後という配分が良いとされる。コレステロールの取りすぎには十分気を付け、食物繊維は積極的に取り、アルコールは控えめにすることの他、ビタミンやポリフェノール含量の多い野菜を取ることも効果的である。
<骨粗鬆症>
老人性骨粗鬆症は、腸の働きが衰えたことでカルシウムの吸収率が落ち、腎臓の働きが弱まってカルシウム吸収に必要な活性型ビタミンDの合成量が低下するために起こる。高齢の女性の場合では、骨からカルシウム吸収を抑える女性ホルモンの欠乏が原因で閉経後骨粗鬆症が起こることも考えられる。
自分ではなかなか気付きにくい骨粗鬆症は、日頃から十分な自己管理を行っておくことが必要とされるだろう。具体的には、適度なカルシウム摂取、適度なビタミンD摂取(日光に当たるとビタミンDは作られる)、カルシウム利用を悪化させるタンパク質の取りすぎを控える、塩分は控えめにする、リン・マグネシウムを適量摂取(リンの取りすぎはカルシウム吸収を悪化させる。インスタント食品やスナック菓子にはリンが含まれる)、アルコールはカルシウム吸収を悪化しビタミンDの作用を抑制するため控えめにする、喫煙はカルシウム吸収を悪化させるため控える、適度な運動を行うことが挙げられる。
骨粗鬆症であることがわかった場合には、運動療法と薬物療法との併用が望ましいとされている。しかし運動不足は骨粗鬆
人は加齢と共に様々なトラブルを抱えることとなる。日頃、活性酸素や紫外線、重力などの影響を受ける私たちは「見える老化」として身体つきや皮膚の衰えに悩まされ、「気が付く老化」としては集中力や運動能力の低下に気付き、「見えない老化」では内臓の老化が進み免疫系などの身体の内部環境を維持する各系で知らぬ間に老化が進んでいる。
しかし、私たちは皆、健康な状態でありながら長生きしたいと望んでいる。各器官の老化の進行を抑制するために、私たちは何をすればよいのだろうか。それでは、各分野ごとに老化の原因と対処法について見ていきたい。
<動脈硬化>
私たちの身体は、年を重ねると共に血管も徐々に進む。若い頃はきれいな壁の血管であっても、年を取ると血管の壁が硬くなったり、脂肪でドロドロになるなどしてくる。症状は様々であるが、血管の壁が厚くなると血液の通り道が狭くなる。これが動脈硬化である。生活習慣病は動脈硬化の悪化によるものが多く、日本の死亡原因の上位を占める心臓病や脳卒中もこの生活習慣病の中に含まれる。従って、動脈硬化の進行をできるだけ抑制することが重要となってくる。
血管中でできた血栓による心筋梗塞や脳梗塞...