民主化の呪縛
冷戦構造が崩壊後の1990年以降、アフリカには民主化の波が押し寄せた。独裁政権は崩れ、複数政党制が相次いで導入され、形の上ではそれが進んだ。
ところが、この民主化は中々根付かなかった。その過程で鍵となる複数政党制の導入は、アフリカの場合必ずといっていい程、部族ごとの利益代表政党が、それぞれの利益を追求するばかりの、政策を論じ合う本来の性質からはかけ離れた政権を生み出してしまう。この為西欧型の民主主義はアフリカの現状に馴染まないとの主張が、指導者層からも噴出している。
一方、旧宗主国側の西欧諸国の都合で進める一貫性に欠けた民主化そのものにも多くの矛盾が生じている。例えばマウライの場合、地方では曾長(チーフ)の言葉が全てであり、1人1人に民主化の意識などというものはない。
筆者は自分達と同じ民主化を進めようとする西欧緒諸国に恣意的なものを感じていた。しかしアフリカにはまた別の問題もある。
ザンビア(旧南ローデシア)のイアン・スミス元首相は「彼らは助力無しではやっていけないのだ」と話す。この言葉は差別主義者の暴言に聞こえるが、決してそれだけで片付けられない現実がアフリカ...