中央大学 法学部 通信教育課程 2016年度 集団的労働法
第3及び第4課題の合格レポートセット(評価は、BB)になります。
2016年度
第3課題
労組法16条は労働協約の規範的効力を規定する。すなわち、労働協約に違
反する労働契約は無効であって、その無効部分は労働協約の基準が適用される。
労働協約基準を上回る労働契約について、通説判例は、有利原則(協約よりも
有利な労働契約を認める原則)を否定する。このため、協約基準が引き下がる
と、たとえ労働契約がその基準を上回っていたとしても連動して引き下がるこ
とになる。つまり、通説判例は、労働協約の不利益変更を原則肯定する。
本問では、
A 組合と Y 社との間で労働協約の不利益変更が締結されているが、
この不利益変更が1)A 組合員である X1に及ぶか、2)少数組合員(B 組合員)
である X2 に及ぶか、3)非組合員である X3に及ぶか、がそれぞれ問題となる。
2)及び3)については労働協約の一般的拘束力としての拡張適用可否の問題
である。以下では、それぞれの場合につき、判例を交えながら検討する。
1)A 組合員である X1 のなしうる法的請求について
労働協約の不利益変更の適用に関して、朝日火災海上(石堂)事件(最一小
判平9・3・27労判713号27頁...