刑の一部執行猶予というテーマで、約20000字で論じています。
刑の一部執行猶予について
目次
序論
1-Ⅰ 刑の一部執行猶予制度導入
1-Ⅱ 問題の所在
1-Ⅲ 本論文の構成
第2章 刑の一部執行猶予制度導入の経緯
2-Ⅰ 被収容者人員適正化方策に関する部会での議論
2-Ⅱ 国会での審議と導入趣旨についての議論
2-Ⅲ 我が国の刑事司法制度の現状
刑の一部執行猶予制度の内容と問題点
3-Ⅰ 刑の一部執行猶予制度の内容と問題点
3-Ⅱ 京都弁護士会、福岡弁護士会の批判とその検討
第4章 刑の一部執行猶予制度のあるべき運用の方向性
第1章 序論
1-Ⅰ 刑の一部執行猶予制度の導入
平成25年6月13日、「刑法等の一部を改正する法律」と「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」が成立し、刑の一部執行猶予制度が導入された。同法は、平成25年6月19日に公布されたが、公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることになっている。
従来の執行猶予制度は、言い渡された刑の「全部」の執行を猶予するというもので、いわゆる「オールオアナッシング」の制度であった。しかし、新制度では、刑の「全部...