『オセロー』におけるイアーゴーの役割とは
自分は『オセロー』に関して考えたことを書こうと思う。
ここでは何故オセローはイアーゴーを信じ、デズデモーナを殺害してしまったのかにつ
いてもう一度考えてみたい。授業でも十分に考察したが、ここでは授業とは考え方を変え
て見ていきたいと思う。
オセローがデズデモーナを疑った理由として、主に「嫉妬」と「オセローのコンプレッ
クス」というものが挙げられる。これらについて違いを明確にしておこう。
一般的に、嫉妬というものは直接的に相手への疑念に転化される。例えば、自分の付き
合っている女性が他の男性と仲良くしていたとしよう。そのとき自分は、「何でアイツは自
分の彼女と仲良くしてるんだよ?」という“嫉妬”を持つ。しかし、この“嫉妬”は、「も
しかしたら彼女は、アイツに気があるんじゃないか?」という“疑念”に発展する。この
事に関してみな経験のあることだと思う。ある意味ではこの“疑念”も“嫉妬”の一部と
言えるかもしれないが、ここではあえて分離して考えていきたい。
また、嫉妬と自身のコンプレックスも明確に分離し難い。一般的にコンプレックスが嫉
妬の原因となる場合が非常に多いと思われるからである。例えば、自分の彼女が浮気をし
たとしよう(筆者自身あまり考えたくないことだが)。そのとき自分は何を考えるだろうか。
ある人は彼女の性向を一方的に責めるかもしれない。自分に何の欠落した点がないような
完全超人や、自己を省みるような殊勝な心を持ち合わせていない人はこのように振舞うだ
ろう。
しかしながら、「自分がこうだったから相手が浮気をしたのではないか」と考える人が圧
倒的多数なのではないだろうか。彼女は自分のここが嫌になったのではないか、あのよう
な行動が不味かったのではないだろうか、考えて出てくる答えはそれこそ星の数ほどある
だろう。それも当然のことである。後でも述べるが、これは自身の頭で考えていることで
あり、答えなど出るはずもないからである。そのようにして見えてくる自分の落ち度、つ
まりそれがコンプレックスである。コンプレックスの認識の段階で嫉妬という感情が原因
になるので、これもまた明確に分離できるものではないかもしれない。しかしここではそ
れらが違った性質を持ったもの考え、きっちりと区別して考えていきたい。
ここで一旦要旨を整理しよう。オセローはデズデモーナに対しての“疑念”を抱いたわ
けだが、その理由をオセローの“嫉妬”と“コンプレックス”として考える。そしてその
“嫉妬”と“コンプレックス”どのようなものであったために、“疑念”がデズデモーナを
殺害するまでの憎しみに変化してしまったのかを考えていきたい。
では早速本論に入っていきたい。まず最初に先程も述べたように、オセローの“嫉妬”
と“コンプレックス”の性質の違いについて筆者の考えを述べる。
私はこの両者を「他の男性に向けての嫉妬」と「自己の醜さの認識ゆえのコンプレック
ス」として考えるのが適切ではないかと思う。噛み砕いて説明すると、“嫉妬”というもの
を自分から外へ向くベクトルを持った負の感情であるとし、“コンプレックス”を自分の内
へと向かっていくベクトルを持った負の感情であると考えるのである。
このようにそれぞれが正反対のベクトルを持った同じ性質の感情であると定義すると、
面白い考察を得ることが出来る。つまり、この二つの感情が同時にオセローを苦しめたと
考えるのである。そのようになったとき、オセローのデズデモーナに対する“疑念”が“憎
『オセロー』におけるイアーゴーの役割とは
自分は『オセロー』に関して考えたことを書こうと思う。
ここでは何故オセローはイアーゴーを信じ、デズデモーナを殺害してしまったのかにつ
いてもう一度考えてみたい。授業でも十分に考察したが、ここでは授業とは考え方を変え
て見ていきたいと思う。
オセローがデズデモーナを疑った理由として、主に「嫉妬」と「オセローのコンプレッ
クス」というものが挙げられる。これらについて違いを明確にしておこう。
一般的に、嫉妬というものは直接的に相手への疑念に転化される。例えば、自分の付き
合っている女性が他の男性と仲良くしていたとしよう。そのとき自分は、「何でアイツは自
分の彼女と仲良くしてるんだよ?」という“嫉妬”を持つ。しかし、この“嫉妬”は、「も
しかしたら彼女は、アイツに気があるんじゃないか?」という“疑念”に発展する。この
事に関してみな経験のあることだと思う。ある意味ではこの“疑念”も“嫉妬”の一部と
言えるかもしれないが、ここではあえて分離して考えていきたい。
また、嫉妬と自身のコンプレックスも明確に分離し難い。一般的にコンプレックスが嫉
妬の...