ロストジェネレーションについて述べよ
ロストジェネレーションについて述べよ
ロストジェネレーションと呼ばれる作家達の特徴として、一つのキーワードがあげられる。それは「喪失感」である。ロストジェネレーションとはつまり、戦争体験によって既存の理想や価値観に不信感を抱き,若いエネルギーをもって,新しい生き方を求めた世代をさすのである。
たとえば、この時代を代表する作家、アーネスト・ヘミングウェイの書いた『日はまた昇る』では第一次世界大戦の惨さを随所に散らせている様に思える。戦傷や看護婦との恋物語は作者の経験に基づくものであろうが、作中にはいつも閉塞感が付きまとっているように感じられる。あたかも、戦争という暗い影を引きずっているかのように思えてくるのである。この戦争によって繰り返された殺戮がヨーロッパの美しい文化という幻想をいとも簡単に崩してしまう。キリスト教と、その文化価値が生み出していた美意識はすべて破壊されてしまう。そうした価値観の崩壊は日本の第二次世界大戦の場合には新たな文化、経済の芽の成長を促す事となったが、当時は戦争により意識を喪失してしまった若者が非常に多かったといわれている。この中で作者はこの作品を通して、今ま...