社会福祉問題に対する地理学的アプローチ
今回のレポートのテーマが、「講義で扱った諸問題を取り上げて、それらの問題に対する地理学的アプローチの意義と課題を示せ」とのことだったので、私は今回社会福祉問題に対する地理学的アプローチの意義と課題について考えてまとめることにした。
1、地理学的アプローチの意義
1-1、歴史的経緯
1942年にW.H.ベヴァリッジがいわゆる『ベヴァリッジ報告』を提出して以来、福祉国家の概念は広まっていき同時にその重要性が強調されてきた。しかしそれから60年以上経った現代でさえ、地域行政が提供するサービスには量・質両方において地域的差異が存在しているというのが現状である。それに対して社会的・地域的公正を実現していこうというのが、社会福祉に対しての地理学のスタンスであり、イギリスを中心とした研究は古くから行われている。
1-2、近年の地理学と社会福祉研究
上記を踏まえて、杉浦が社会福祉問題(特に高齢者福祉)において重視する地理的視点は次の三点である。
A-地域差異、格差
B-地域関係
C-地域特性
A:地域差異、格差
まず、どれほどの差異・格差が存在するのか...