このレポートは事例に即して瑕疵担保責任について述べています。
※このレポートは以下のレポートに収録されているものと同じ内容です。
慶応義塾大学法学部(通信)合格レポート集
http://www.happycampus.co.jp/docs/938478183489@hc15/122970/
■債権各論
1.前提
(1)隠れた瑕疵
当事例における法的論点は民法570条〈売主の瑕疵担保責任〉にある。そこでまず同条に規定されている「隠れた瑕疵」について考察したい。
一般に瑕疵が「隠れた」ものと見なされるには次の二点を満たされる必要がある。まず第一の要件は目的物の瑕疵が契約前から存在することである。また第二の要件は、その瑕疵について、善意の買主が「取引をする上で一般に要される程度の注意を払っても発見できない」ものでなければならないことである。
では当事例における中古車のブレーキ不良は「隠れた瑕疵」に該当するか。
第一の要件についていえば、引渡し後にブレーキ不良が発生したか否かが問題となるであろう。しかし当事例を鑑みれば、引渡し後においてA・Bの過失等は見当たらない。したがって契約前から存すると考えられるので、この第一要件は満たすといえる。
それでは第二の要件はどうか。この検討にあたっては、当事例と同じくネットオークションにおける中古車売買の紛争である、いわゆる「アルファロメオ事件」の判例(東京地裁判決平成16年4月15日判時1909号55頁)が示唆に富んでいる...