このレポートはマイナンバー法と特定秘密保護法について、憲法学の観点から論じています。
※このレポートは以下のレポートに収録されているものと同じ内容です。
慶応義塾大学法学部(通信)合格レポート集
http://www.happycampus.co.jp/docs/938478183489@hc15/122970/
■憲法
はじめに
このレポートではふたつの法律について憲法上の問題を検討することに目的を置いている。
そのひとつは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 」(以下番号法とする)である。この法律に関して私は重要な判例である「住基ネット判例」を引き合いに出して、憲法13条から導出されるプライバシーの権利が問題になっていることを指摘したい。そしてこの判例が今後における共通番号運用の規範を憲法的に確認したという点を評価するつもりである。
今ひとつは「特定秘密の保護に関する法律」(以下特定秘密保護法とする)である。この法律について私は、外務省秘密漏洩事件の判例から、憲法21条1項から導出される知る権利の問題を指摘したい。そしてこの判例における「秘密」が曖昧であり、今現在でもその定義が学説上争われている現状によって、他の憲法上の問題――罪刑法定主義、明確性の原理――が派生的に生じていることを主張するつもりである。
なお本旨からは逸脱するものの、政治的なイデオロギーによる単なる「好悪の表明」が憲法解釈に悪影響を及ぼしているのではないかということも本レポー...