「不法行為に基づく請求権」
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報告年月日: 年 月 日
論点
不法行為に基づく請求権の要件としての因果関係につき民法416条を類推適用するという見解について報告する。
問題点
不法行為(民法709条)の成立要件は①故意または過失あること、②権利の侵害あること、③責任能力があること、④損害の発生があること、⑤行為と損害の間に因果関係があること5つである。さらに、この因果関係のなかで相当因果関係に当たるものが損害賠償の範囲となる。(詳細には㋑因果関係の存否、㋺賠償責任の画定、㋩賠償額の算定、の3つに分かれる。)
この損害賠償の範囲において、突発に生じる予見できない「不法行為」に契約により予見できている「債務不履行」の損害賠償の範囲を規定した民法416条を類推適用することに問題はないのかが争点となる。
因果関係と条文の分析
まず、因果関係について整理を行う。因果関係の存否とは事実的(自然的)因果関係であるが、現実問題として医療過誤や公害など複雑化・専門家しており、被害者がこれを完全に立証する事は困難である。そのため被害者救済の立場から、条件関係があり立証され...