「自己決定権と死ぬ権利」
「自己決定権と死ぬ権利」について考えを述べる前に、「死ぬ権利」の意味について考えたい。私は「死ぬ権利」とは「生きること(生命維持)を放棄する権利」であると考えている。そのように考えると自殺はこの権利の中には含まれない。(今回のレポートとは関係ないが私は自殺する権利は人間にはないと考えている。)そして、人間を生物として狭い範囲で見れば、生命維持、自然治癒の機能を備えており、自らその機能を放棄する事は不可能である。どんなに自分を傷付けようとも身体は生命を維持し回復しようと働くものだ。
このような視点から見ると「生きること(生命維持)を放棄する権利」(「死ね権利」)を認めることは出来ないと考える。しかし、この考えは必ずしも尊厳死や過剰な医療の強制を肯定するものではない。医療行為を「死ぬこと」からの視点で見た場合にはそれは死を防止するための手段のように考えてしまうが、生命維持の視点から見ると生命維持、自然治癒の機能の補助的な役割であると考えることができるからである。先にも述べたが人間は軽い負傷や病気であれば治療をしなくとも回復する。治療はより確実に早く回復するための手...