「個別援助技術(ケースワーク)の展開過程について述べよ。」
個別援助技術とは、利用者(生活課題を抱える個人や家族)を対象に援助者(ソーシャル・ワーカー)が個別の関わりを駆使しながら問題解決を図る技術である。
個別援助技術の過程は、伝統的な立場として「診断派」と「機能派」の二通りの考え方が挙げられる。
「診断派」は、ケースワーク過程を「インテーク→スタディ→社会的診断→社会的処遇」と捉えており、利用者の置かれている社会・心理的状態を明らかにする為に行われる診断が有効な処遇を可能にすると考えられたものであり、社会的診断を重視しているのである。
「機能派」は、ケースワーク過程を時間的経過に区分し「初期の局面、中期の局面、終結の局面」とした。これは、その時その時で「今何が必要なのか、何が出来るのか」を判断する事が問題解決に繋がると考えたからである。よって機能派は時間的段階を意図的に活用する必要があり、その様に援助しようと考えているのだ。
伝統的ケースワーク理論の中で最も有名なのが、H.パールマンの問題解決アプローチである。基本的には診断派の考え方でありながら、機能派の考え方も取り入れて、過程を「開始期→診断→問題解決」という流れで行おうとしたものである。パールマンは「四つのP」(Person、Problem、Place、Process)をケースワークの構成要素だとしていたが、後に「二つのP」(Profession、Provision)を追加し、利用者自らが解決しようとする力をワーカビリティと呼んだ。その要素となるものを「動機づけ(Motivation)」、「能力(Capacity)」、「機会(Opportunity)」とし、その頭文字を取って「MCOモデル」というアプローチを生み出したのである。これが現在の社会福祉援助技術の基礎となっているのである。可能な限り利用者自らの力による問題解決を援助していく。それがケースワークの根本的な考え方である。
ケースワークの流れを①インテーク、②アセスメント、③プランニング、④インターベンション、⑤モニタリング、⑥ターミネーションに分け、項目毎にまとめてみる。
①インテーク
個別援助はインテークによって開始される。「インテーク」は取り入れる事、受理と訳される。インテークは通常面接という形で行われる。利用者本人から、若しくは家族、近隣、専門機関等、本人以外から問題を持ち込まれ、援助が開始されるのである。つまり、この時点で既に問題解決の為の信頼関係作りが始まっているのである。直面している問題について積極的な姿勢を示し、どの様に援助すれば良いのか、傾聴することから始める。
社会福祉機関や施設に相談しに来る利用者は、多くの場合二つの不安を抱えている。一つは直面している問題を自分達の力だけで解決出来ない事に対する不安。もう一つは、抱えている問題を相談した事でどの様な受け答えをしてくれるのか、という不安である。誰かの手を借りたい、と相談に来る利用者は不安で一杯なのである。そこで援助者は、不安を緩和しながら傾聴するという援助を開始するのである。この時期が援助者と利用者の信頼関係を築く第一歩となるのである。逆に言えば、ここで信頼関係が築けないと、その後の援助に大きな支障を来たす可能性が出て来るのである。出過ぎず、何でも請け負いし過ぎず、主役はあくまでも利用者の生活の問題解決だという事を忘れずに援助に当たるべきである。
この時期は援助の何を進める訳では無く、準備期間なのである。こちらの立場、提供出来るサービス、利用者の権利等についての説
「個別援助技術(ケースワーク)の展開過程について述べよ。」
個別援助技術とは、利用者(生活課題を抱える個人や家族)を対象に援助者(ソーシャル・ワーカー)が個別の関わりを駆使しながら問題解決を図る技術である。
個別援助技術の過程は、伝統的な立場として「診断派」と「機能派」の二通りの考え方が挙げられる。
「診断派」は、ケースワーク過程を「インテーク→スタディ→社会的診断→社会的処遇」と捉えており、利用者の置かれている社会・心理的状態を明らかにする為に行われる診断が有効な処遇を可能にすると考えられたものであり、社会的診断を重視しているのである。
「機能派」は、ケースワーク過程を時間的経過に区分し「初期の局面、中期の局面、終結の局面」とした。これは、その時その時で「今何が必要なのか、何が出来るのか」を判断する事が問題解決に繋がると考えたからである。よって機能派は時間的段階を意図的に活用する必要があり、その様に援助しようと考えているのだ。
伝統的ケースワーク理論の中で最も有名なのが、H.パールマンの問題解決アプローチである。基本的には診断派の考え方でありながら、機能派の考え方も取り入れて、過程を...