会社法事例演習教材 第二版の解答です。問題は紛争解決編(第Ⅰ部)と紛争予防編(第Ⅱ部)に別れており、それぞれ12テーマずつ。会社法における最良の演習書であると考えます。
解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。 そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、充実した内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
Ⅱ‐5 株式単位の選択
設例5-1
Q1 株式単位を引上げるための手段にはどのようなものがあるか。実行するためにはそれぞれどのような手続が必要か。
株式単位引上げの手段として、株式併合(180条1項)による場合が挙げられる
株式併合とは、数個の株式を合わせてそれより少数の株式とすることである。それを行う手続として、まず株主総会の特別決議によって併合の割合や併合の効力発生日を定める必要がある。(180条2項 309条2項4号)そして効力を生ずる日の2週間前までに、株主、登録株式質権者に、併合の割合・効力発生日を通知、または公告しなければならない(181条1項、2項)。また、併合によって端数が生ずる株主に不利益が生じうるので、取締役は、当該株主総会において、株式併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない(180条3項)。
⇒上場会社の株式は「社債、株式等の振替に関する法律」(振替法)の制度導入とともに、その株券が廃止されたため、株式を上場しているP社もこれによって株券不発行会社となっている。したがって、219条1項2号所定の手続の履践は不要である。
他の株式単位引き上げの手段...