会社法事例演習教材 第二版の解答です。問題は紛争解決編(第Ⅰ部)と紛争予防編(第Ⅱ部)に別れており、それぞれ12テーマずつ。会社法における最良の演習書であると考えます。
解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。 そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、充実した内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
【設例2-1】 株式の払込金額
(1) 入札による払込金額の決定
Q1、Aの案の問題点
1、会社は、発行する株式を引き受ける者を募集するときは、払込金額、又は算定方法を募集事項として定めなければならない(1991項2号)。算定方法とは、その方法によれば具体的金額が一義的に定まるような方法を言う。
Aの案は、払込金額を入札という方法により決定することとするものであるが、入札では具体的価格が算出されないため、算定方法にあたらない。
したがって、算定方法を定めたとは言えない。
2、もっとも、P社は種類株式発行株式会社ではなく、定款による株式の譲渡制限もないことから公開会社であると言える。そして、公開会社においては公正な価格による払込を実現するために適当な払込金額の決定方法を定めることでたりる(201条2項)。
しかし、「入札」は会社に払い込まれる金額が予想できず、又下限すら定められていないため有利発行となるおそれがある。したがって、入札は公正な価格による払込を実現するために適当な方法とは言えない。
よって、決定方法を定めたともいえない。
3、以上より、Aの案による新株発行では、法の要...