【日大通信】国文学講義Ⅰ(上代)分冊2 H25-26年度課題 合格リポートです。「上代説話の六つの類型説話と農耕説話から一つ取り上げて、それぞれの特徴について説明しなさい。その時には、古事記・日本書紀・風土記」などを参考にして、それぞれの説話に一例ずつ具体的に示すこと」
「丁寧に説明はされていますが、欲を言えば自分の考えも述べてみましょう」との講評をいただいております。
参考用としてお使いください。
説話を分類すると、①創造神話、②英雄神話、③自然説話、④人文説話、⑤神婚説話、⑥地名説話の六分類とすることができる。なお、この六分類には「農耕説話」が含まれていない。それは、農耕関係の説話は主として人文説話に属するが、それ以外も創造説話、自然説話、英雄説話、地名説話にもしばしば見受けられるからである。各種説話を縦断して、広くかつ深く内在しているのは、我が国は農業をもって立国とし、我々の祖先は農耕を生活の基盤としていたからだろう。
さて、六分類から「地名説話」について考察していく。名という点からいうと地名はもとより、人名にしても、神名にしても、名づけるにはそれだけの理由なり根拠なりがあったはずである。例えば、生まれたての赤子に親が名をつける場合は、将来こうなって欲しいという親の願望を込めて命名するのであるし、既に世を終わった人の縊号等になると、その人の性格や生前における業績などを反映させる場合が多い。古代神話に現れる神名なども同様で、その神の性能をあらわしているようである。しかし、古事記・日本書紀・風土記に現れる地名説話をみると、必ずしもそういう説話があってそれから名づけられたというよ...