慶應通信経済学部の最大の難関とされる経済史の科目試験対策の頻出過去問題、予想問題集の第三弾です。私自身も経済史に苦戦し、計八回受け、あと卒業まで、経済史の単位だけという状況でやっと合格しました。この問題集は、過去問だけではなく、二年間に渡る経済史対策の中で私が作成した予想問題を取り入れました。過去問は、頻出回数が多い問題を優先的に採用し、過去問、予想問題ともに全て解答付きです。第三弾は頻出の工業化編で計22問の問題を採用し、内、予想問題は12問です。この問題集を作るに至っては、教科書だけではなく、以下の本を参考にしました。
ヒックス著、新保博訳(1995)『経済史の理論』日本経済新聞社
馬場哲・小野塚知二編(2001年)『西洋経済史学』東京大学出版会
前者は頻出の工業化、中世について丁寧に解説されており、後者は、教科書で言及されない箇所が出題される傾向がある近代の経済史について詳細に解説されているので、教科書の内容をほぼ終えてしまった人には試験対策におすすめの本です。
近代と工業化【第五章〜第七章】 計22問 予想問題12問
15世紀から17世紀にかけてのイタリアの経済発展を説明せよ【予想問題】
イタリアは11世紀以来は貿易により成長を遂げていたが、15、16世紀になると戦乱や伝染病の流行が経済に強い打撃を与え、都市も壊滅的になってしまった。16世紀中盤からは、経済は回復し、毛織物や布地の生産が復活したものの、ギルドの強化、オランダ、イギリスなどの競争相手の登場により、イタリアの国際競争力は低下していった。17世紀になると、イタリアの貿易相手であるスペイン、ドイツ、オスマン・トルコが戦乱に巻き込まれたことと、貿易の国際競争の激化により、さらに経済の没落が激しくなり、特にイタリアの毛織物産業や船舶業に壊滅的な打撃を与えた。イタリアの産業の中心は商工業から農業に移動し、非工業化によりイタリアは後進国になってしまった。
産業革命がなぜ、イギリスで先行したのかその理由を説明せよ。【01、94年科目試験】
産業革命がイギリスで先行した理由としては、まず、地理的な側面が挙げられる。イギリスは河川の交通の便に恵まれており、また、島国であったので...