教職の専門性
学校の教師という職業が他の専門職と比べて異なっているのは、例えばピアノの先生であればピアノだけを教えていれば良いが、学校の教師は勉強だけ教えていれば良いというわけにはいかないということである。もちろん、本質的に、学校はいわゆる「勉強」、つまり教科学習だけを教えるための場ではなく、生活、人生、社会において大切であることを教えて、生徒の健全な成長・発達を促すための場であるから、それが教師にとっての「専門」だろうと言われれば確かにその通りなのであるが、重要なのは、いずれにしても教師という仕事は、専門職にしては実に多岐に渡る能力を要求される職業だということである。このような傾向は、いわゆる「底辺校」などにおいては特に著しい。教師はいかにして授業させるかということや、生徒の起こす様々な事件への対応や親への対応、さらにはそのような事件からいかにして自分の学校の生徒を守るかというセキュリティーの問題まで、実に様々な問題を抱えて仕事をしなければならない。また、かといって教科教育を蔑ろにして良いかというと決してそんなことはなく、生徒の親、また生徒自身も、成績が悪いと「教師の教え方が悪いん...