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わが国では急速に進む高齢化の中、介護保険制度を創設するなどして対策を講じてきた。高齢者の尊厳を保持する事を目的としてきたが、一方では高齢者に対する虐待などが表面化し社会的な問題となり、平成18年4月に高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律の施行となった。法的整備が進んだ背景には高齢者が他者からの不適切な扱いにより、権利利益を侵害される状態や、生命、健康、生活が損なわれるような状態に置かれること捉えられたためである。
高齢者虐待防止法の目的は、要約すれば、高齢者の尊厳の保持という大きな理念があり、それを実現する為には高齢者虐待を防止する事がきわめて重要であり、そのために必要な措置を定めるということである。
高齢者虐待防止法の定義では、高齢者を65歳以上の者、高齢者虐待を養護者及び要介護施設従事者等による高齢者虐待と定義している。
虐待という行為は次のような行為とされている。
高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じる恐れのある暴力を加える「身体的虐待」、高齢者を衰弱させるような減食、長時間の放置など養護を著しく怠る「介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)」、高齢者に対する...