「米国における格付けは大恐慌と戦後の時代にどう発達してきたか」
アメリカで初めて格付を行ったのは、1909年にムーディ社の創立者であったジョン・ムーディである。彼はMoodys Analysis of Railroad Investmentのなかで鉄道債券を格付けしたのだ。格付が信頼性を高め、市場に定着する大きな契機になったのが、1929年に始まった大恐慌である。大恐慌が起きたときに、大きな債務不履行が発生し、証券市場は大混乱に見舞われた。これは、投資家が債券の債務不履行リスクを身を持って、しかも集中して経験する機会になった。なぜならば、大恐慌の過程での債務不履行の発生率と格付を比べてみると...