学校教育における美術科目の意味
私は学校教育において美術科目は、価値観
の多様化の進む現代社会だからこそ大きな意味を持つと考える。生徒が思い思いに、一人ひとりが異なった作品を生み出すことは創造性を養い、また多様な価値観を許容できる子供たちの育成に繋がるだろう。
しかし、現在の美術科目の指導方法は美術科目を意味のないものにしてしまっている。それは、美術教育が創造性を向上させるものではなく描き方を指導する、つまり技術教育だからである。美術教育が技術教育になってしまっているのは、小中学校教育における美術教育の導入の名残だと考えられる。美術教育は、明治期の学制導入ともに始まっている。当時、西欧における美術教育は、産業革命後の技術者養成のため、実利的な技術中心の美術教育が主流であった。近代化を急速に進めていた当時の日本でも、美術教育も近代産業の振興を目的として移入され、職業訓練的な傾向が強かったのである。しかし、世界でも有数の経済大国となった現在の日本ではこのような商業訓練的な要素、つまり技術教育は必要ないのではないだろうか。私は以下に述べる欧米の美術教育のような主体的、創造的な授業内容にすべき...