変形性膝関節症の基礎知識
高齢化社会を向かえ、加齢が主原因の一つと考えられる変形性関節症(以下OA)の占める比率は、今後さらに拡大すると予想され、理学療法士にとって頻繁に遭遇する疾患となり、強い関心を払わなければならない疾患の一つである。
臨床的に、OAは形態学的な変化と機能要請との平衡関係が崩れた状態であり、関節軟骨の退行性変化、軟骨辺縁に近接した骨形成、辺縁部の軟骨および骨の増殖性変化を特徴とし(骨棘)、慢性に進行する。特定の原疾患のないものを一次性OA、軟骨変性を起こす何らかの原疾患があって発症するものを二次性OAと区別している。
Ⅰ. 変形性関節症の特徴
疫学
全ての関節部位のOAの罹患率は年齢とともに増加することから、年齢は本疾患の強力なリスクファクターである。Ⅹ線所見で診断すれば、成人人口の半数以上はどこかにOA所見がみられ、60歳以上で全く変化がみられないのは例外的であり、75歳以上では80%の人に存在するといわれる。OAは日常生活動作が困難になる大きな原因であり、なかでも膝OAは他の部位より生活動作が困難になる。
OAの悪化因子として、肥満、職業、生活様式、スポー...