Ⅰ.基礎知識
1.脊椎(腰椎)の機能解剖(図Ⅰ‐1,2) 図Ⅰ‐1
脊柱は頸椎(7個),胸椎(12個),腰椎(5個), 仙椎(5個の仙椎が癒合)よりなっており,個々の椎骨は形態も大きさも異なっている.
脊柱の機能は大別して,体幹支持,神経組織の保護,体幹運動
の3つの機能を有している.脊柱に加齢変化や外傷が加わり機能
破綻を起こした際に腰痛や下肢痛が出現するとされている.
腰椎は,体重支持の役割をするために大型になっており,その
厚みは,L1・2では後縁が前縁より厚くL3で両縁が同じく,L
4・5では反対で前縁が後縁より厚くなっていて脊柱カーブの形
成に関与している.
図Ⅰ‐2
2.腰痛の発生機序(図Ⅰ‐3)
図Ⅰ‐3
3.腰痛の原因となる疾患像
腰痛症は整形外科や理学療法科においてきわめて多い疾患の一つである.原因となる疾患には整形外科的なものと内科的なものとがある.また,高齢者で...