まず、第一に、「北朝鮮の核・ミサイル問題のことを考えると、日本もこれに対抗できるような軍事的抑止力を充実させることが必要である。日本だけで無理ならば、日米共同で取り組んでいけばよい。」という意見についてであるが、これは日朝共に「国家の生存の確保」が最も重要な国益であり、国益の追求のために国力を行使するが、国力の中で最も重要なのが軍事力であるとする「伝統的なリアリズム」の考え方に基づいている。歴史的に見れば、このようなリアリズムの考え方にもとづき、19世紀から20世紀初頭にかけてのヨーロッパ諸国は「富国強兵」「殖産興業」の政策をとり、互いに戦争をおこなってきた。核兵器が開発され、もしも核戦争が勃発すれば両国の生存が危ぶまれるような被害が必至である現代において、先の例のように日朝間で戦争がおこり、核兵器が使用される可能性は低いであろうが、「戦争が起こらない」ということと「国交を正常化する」ということはもちろん全く異なることであり、日本が軍事力をもってして北朝鮮を牽制すれば互いに武器を作りあい、牽制しあうという冷戦の再現になってしまい、問題解決には至らない。
国際関係概論中間レポート
今日、日本と北朝鮮との関係は悪化する一方であるが、これからの日本の対北朝鮮政策のあり方について考えてみたい。
まず、第一に、「北朝鮮の核・ミサイル問題のことを考えると、日本もこれに対抗できるような軍事的抑止力を充実させることが必要である。日本だけで無理ならば、日米共同で取り組んでいけばよい。」という意見についてであるが、これは日朝共に「国家の生存の確保」が最も重要な国益であり、国益の追求のために国力を行使するが、国力の中で最も重要なのが軍事力であるとする「伝統的なリアリズム」の考え方に基づいている。歴史的に見れば、このようなリアリズムの考え方にもとづき、19世紀から20世紀初頭にかけてのヨーロッパ諸国は「富国強兵」「殖産興業」の政策をとり、互いに戦争をおこなってきた。核兵器が開発され、もしも核戦争が勃発すれば両国の生存が危ぶまれるような被害が必至である現代において、先の例のように日朝間で戦争がおこり、核兵器が使用される可能性は低いであろうが、「戦争が起こらない」ということと「国交を正常化...