「学力低下とは何かを明らかにし、社会階層のような社会的不平等と学力がどのような関わりをもつのかについて述べてください」
現在、様々なメディアで児童・生徒の「学力低下」に関する問題が取り上げられている。これは「ゆとり教育」とも関連しており、そこから、学習意欲の低下や大学生の学力低下を生むきっかけともなってきているので、学校教育においては放置できない事態となっている。
もちろん、学力低下自体は昔から様々な形で繰り返し論議されてきたことであり、目新しいことではない。しかし、具体的な国際比較や時系列的なデータが示されたのと同時に、教育現場で教育に携わる関係者の実感にフィットしたことがこれだけの論議を呼ぶ直接的なきっかけになった考えられる。
いうまでもなく、「低下」というのはマイナスイメージの語であり、学力低下よりも学力向上の方が、基本的には望ましいであろう。なかには、文部科学省の学力テストの実施による学力向上をを目指す動向を、「学力コンクールの蔓延=受験戦争の激化」と短絡的に結びつけ、学力向上を懸念する珍妙な声も、一部の進歩的教育学者からは寄せられている。
しかし、学力低下といって...