日大通信 【25・26年度】 租税論 0774 分冊1 -合格レポートA評価-        二元的所得税

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    資料紹介

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    【講評】
    ・二元的所得税が注目されている背景について、十分な理解が踏まえられており、その基本的理解と日本での検討の意義についてメリット、検討すべき課題がよく整理されている点を高く評価した。
    ・リポートで触れられているように、わが国における所得税制では、金融資産の再分類を含め、優遇措置、特別控除等の措置が設けられており、その不透明性が問題視されてきた。また、それによる税回避による損失は、所得税収入そのものを減じてきたという認識から出発すれば、導入意義が高い租税概念であるといえる。一方で、所得税制に求められてきた日本的文脈においては、累進課税制度を軸とした再分配機能を堅守すべきであるとの議論からの反発も強い。すなわち、不労所得への重課という古くからの主張は根強く、金融資産への比例一律課税導入への抵抗は未だあるものと考えられる。
    ・こうした主張に対し、日本における議論のみではなく、海外事例において、どのような捉え方がされているのか、特に先進的に導入されてきたヨーロッパ北欧諸国の経験を紐解き(税を果たすべき再分配の相違も踏まえて)考察を深めておけるとよい。その点では、社会保障制度のあり方も踏まえた議論が必要となるが、その中で金融資産課税が図られた背景、導入後の効果について、日本での導入意義の説得的な材料をそろえることが可能となる。

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    租税論 0744 分冊1
    二元的所得税について説明せよ。 



    ≪ポイント≫

     二元的所得税は、個人所得税(わが国では、単に所得税という)において課税所得を勤労所得と資本所得(利子、配当、キャピタルゲイン、不動産所得等)とに二分したうえで勤労所得にのみ累進課税、資本所得に勤労所得の最低税率に等しい税率で一律分離課税を行い、法人税制では、法人税率を資本税率に等しく設定する所得税体系のことをいう。

     この二元的所得税すなわち金融所得課税の一元化によって、現行のわが国の所得税製に内在している貯蓄優遇のバイアスを取り除いて「貯蓄から投資へ」という政策目標を促そうとしている。しかし古来より、資本所得は不労所得といわれ、これに重課し、勤労所得を軽課するのが公平であるという考え方もある。



    ≪キーワード≫

    勤労所得、資本所得、比例税率、累進税率、公平



     投資の活性化を目的とした概念である「二元的所得税」は、90年代に北欧が先駆けて導入したシステムで世界的にも主流の考え方となってきている。個人資本の効率運用のために日本では現在特に「金融所得一体課税」の導入が検討...

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