債権総論B レポート
債権者代位権とは、債務者がその財産減少を消極的に放置し、債権者が債権の満足を受けないおそれがある場合に、債権者が債務者に属する権利を代わって行使しうる権利をいい、消極的に債務者の財産管理に関与することを認める責任財産保全のための制度である。そこで、この債権者代位権をどう解釈するかにより、無資力要件の必要性が異なる。「責任財産保全制度説」によると、債権者代位権は債務者の責任財産を保全するための制度であると解する。「簡便な債権回収手段説」では、債権者代位権は簡便な債権回収手段として、その意義を積極的に捉えていく考え方である。前者の立場からすれば、債権の回収ができるかは、最終的に債務者の資力にかかっている。通常、債務者には財産管理権があり、債権者が干渉できないものである。しかし、無資力の状態になれば干渉できるというものである。財産の干渉は、原則として強制執行手続きなどを踏むべきものであるので、制限的に用いるという結論になる。一方、後者の立場からすると、債権者からすれば、債務者が無資力であれば債権者代位権という簡便な手段によることができるのに、たまたま他に財産があれば、債...