2013年 刑法総論 第1課題 C
(1)Xは、居酒屋で言い争いになったAの胸を両手で強く突いたところ、Xは知らなかったがAには
たまたま心臓に重大な疾患があり、死亡するに至った。Xの罪責を論ぜよ。
(2)Yは、公園でBに激しい暴行を加えて重傷を負わせ、10キロメートルほど離れた郊外の工場の空
き地に同人を運んでこれを放置したところ、通りかかった第三者ZがBに更に殴る蹴るの暴行を加
え、その後Bは死亡するに至った。検証によれば、Bの死亡の原因はYが加えた暴行によるもので
あったが、Zの暴行によって、それが数時間早められたことが明らかとなった。Yの罪責を論ぜ
よ。
第1 設問(1)について(法令名なき条文は刑法を指す。)
1 Xは、居酒屋で言い争いになったAの胸を両手で強く突いているため、人に対する不法な有形
力の行使をしていると評価することができるため、暴行罪(208条)の客観的構成要件を満たす。
そして、言い争いになった勢いで暴行をしているため、暴行の故意も認められる。したがって、主
観的構成要件も満たす。
よって、暴行罪の構成要件を満たす。
ところが、Aは当該暴行の結果として死亡...