全国に約1,150店舗、会員数1,800万人以上を擁するTSUTAYAは音楽CDやビデオのレンタルや出版物、ゲームの販売をコアビジネスとしている。そのフランチャイズ本店であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)では現在、従来のPOSシステムに加え、インターネットを徹底活用して顧客情報を収集し、これを活用することで店舗の集客力や販売力の向上を図っている。CCCでインターネット事業を担うのが「TSUTAYA Online」であり、このネット戦略を端的に表しているのが「クリックス&モルタル」という言葉だ。ネット店舗に対して従来型の小売店舗を示す言葉として「ブリックス(レンガ)&モルタル」という言葉があるが、これに対して、インターネットのクリックをもじった造語が「クリックス&モルタル」である。これは、インターネットと店舗のシナジー効果を意図しており、CRM(Customer Relationship Management)の考え方に基づく。以下、CCCのマーケティングの実践を事例として挙げ、CRMの有意義性について考察したい。
◇CCCのマーケティングの実際◇
近年、インターネットの急速な普及により、顧客にとってサプライヤーの選択が容易になった。レンタル事業をはじめとするCCCのビジネスも例外なく、この影響を受けている。ウェブ上の違法なコピーや共有ファイル、有料で音楽や映画を配信するチャンネルの存在は、従来の代替品である中古品や海賊版にも増して脅威といえるだろう。こうした状況にあって、潜在顧客の優良顧客への引き上げや顧客維持の必要性は増大の傾向にある。
これを受け、CCCでは、1999年に本格的なCRMシステムを導入し、以来、顧客情報を利用した科学的経営を実践しながら顧客満足度の向上に努めている。この中核をなすのが「クリックス&モルタル」であり、その基盤は、会員情報の分析と管理である。
CRMのエンタープライズ・アプリケーション
としての戦略的魅力
―事例:CCCにみる顧客情報の収集・活用―
全国に約1,150店舗、会員数1,800万人以上を擁するTSUTAYAは音楽CDやビデオのレンタルや出版物、ゲームの販売をコアビジネスとしている。そのフランチャイズ本店であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)では現在、従来のPOSシステムに加え、インターネットを徹底活用して顧客情報を収集し、これを活用することで店舗の集客力や販売力の向上を図っている。CCCでインターネット事業を担うのが「TSUTAYA Online」であり、このネット戦略を端的に表しているのが「クリックス&モルタル」という言葉だ。ネット店舗に対して従来型の小売店舗を示す言葉として「ブリックス(レンガ)&モルタル」という言葉があるが、これに対して、インターネットのクリックをもじった造語が「クリックス&モルタル」である。これは、インターネットと店舗のシナジー効果を意図しており、CRM(Customer Relationship Management)の考え方に基づく。以下、CCCのマーケティングの実践を事例...