「認知症について述べよ。」
認知症は脳の病気で、単なる物忘れとは異なる。物忘れの知能低下は、通常の老化現象であって、脳の病気ではない。これに対して、認知症は、後天的な障害によって、知能が比較的短期間のうちに低下し、日常生活に支障をきたすようになる。認知症の症状は、脳血管性とアルツハイマー型が全体の80~90%を占めている。最近では、アルツハイマー型が脳血管性より多いといわれている。
単なる物忘れは、体験の1部を忘れるなど進行しない。物忘れを自覚しているなど、日常生活に支障がなく、問題行動もない。
認知症の物忘れは、全体を忘れ、進行する。見当識障害があり、自覚がない。といった症状がある。他にも、徘徊、弄便、暴行といった問題行動、妄想、幻覚といった精神症状、日常生活動作の低下(失禁)、合併症(歩行障害、言語障害)がある。
症状の出現は、本人を取り巻く環境や人間関係などが影響していると考えられており、本人が安心して過ごせるよう環境を整え、ケアの仕方を工夫することで症状を緩和することができる。
症状の中でも、徘徊や物盗られ妄想は高い頻度で見られるが、すべての認知症の人に起こるわけではな...