はじめに
カウンセリングの時間は“非日常の時間”といわれるが,その方法は,予備面接から終結まで,日常でも行なわれる“対話(言語表現)”が主である。しかし,クライエントが,言語による自己表現能力が未熟な子どもの場合,言葉の代わりに遊びを媒介にした心理療法が用いられることがある。これを,プレイセラピー(遊戯療法)という1)。
私は,このプレイセラピーについて調べた。
プレイセラピーの起源と意味
プレイセラピーは,精神分析療法を,子どもに適用しようとする試みから生まれてきた。つまり,はじめから完全な形を持って生まれてきたのではなく,他の療法の仮説や手法から派生してきたものである。たとえば,アンナ・フロイド(Anna Freud)は,分析者への積極的な情動的愛着をつくりだすために,導入技術として遊戯を取り入れた。また同じ頃,独自に,メラニー・クライン(Melnie Klein)は「遊戯分析は,子どもの行動についての深層的な解釈に非常に早く立ち入ることができる,よって,このような方法で,子どもの抱える困難を解消できる」と主張した2)。
その後,プレイセラピーの意味についてのさまざまな説3)が提唱された。アレン(Allen, F.)や,ムスターカス(Moustakas, C.)は「遊びは子どもと治療者の人間関係を結ぶための便宜上の手段である」と主張した。一方,これとは反対に,エリクソン(Erickson, E.H.)は「遊戯には自癒的効果がある」と考えた。そのほか,ウィニコット(Winnicott, D.W.)の「遊ぶことは創造的体験であり遊ぶこと自体が治療である」とする説,ピアジェ(Piajet, J.)の「遊びとは知的発達における同化作用である」という説,「抑圧された情緒,欲求,葛藤などが遊びの中で開放される」というライン(Klein, M.)の浄化説などがある。
プレイセラピーについて
はじめに
カウンセリングの時間は“非日常の時間”といわれるが,その方法は,予備面接から終結まで,日常でも行なわれる“対話(言語表現)”が主である。しかし,クライエントが,言語による自己表現能力が未熟な子どもの場合,言葉の代わりに遊びを媒介にした心理療法が用いられることがある。これを,プレイセラピー(遊戯療法)という1)。
私は,このプレイセラピーについて調べた。
プレイセラピーの起源と意味
プレイセラピーは,精神分析療法を,子どもに適用しようとする試みから生まれてきた。つまり,はじめから完全な形を持って生まれてきたのではなく,他の療法の仮説や手法から派生してきたものである。たとえば,アンナ・フロイド(Anna Freud)は,分析者への積極的な情動的愛着をつくりだすために,導入技術として遊戯を取り入れた。また同じ頃,独自に,メラニー・クライン(Melnie Klein)は「遊戯分析は,子どもの行動についての深層的な解釈に非常に早く立ち入ることができる,よって,このような方法で,子どもの抱える困難を解消できる」と主張した2)。
その後,プレイセラピーの意味について...