主人公は四人の孤児たちです。
彼らは父親がアルコール依存症で病死していたり、母親がコカイン中毒でガス自殺を
していたりします。
(ただし、四人のうち、姉弟であるのはエリザベートとポールの二人だけ。
ポールの友人として絡んでくるジェラールと、後にやってくるアガートという少女は
まったく偶然に知り合った孤児たちです)
お話の始まった時点では、彼らの親代わりをしている人物は生きているのですが、
お話が進むにつれて病死してしまうのです。
たちまち生活苦にまきこまれてしまいそうなものですが、このお話では
うまい具合に生活を助けてくれる人がいたり、遺産を相続することで奇跡的に裕福で
自堕落な生活を続けてゆくことができてしまうのです。
足の踏み場もないほどに、紙切れや本や汚れた下着類が山積みになった部屋で、
子供たち(といっても十六歳から十四歳くらいなのですが)は無秩序な共同生活を送るのですが……。
この「恐るべき子供たち」は、さらっと読むと
”ちょっと風変わりで、悲劇的な最後を迎えるお話”でしかありません。
背表紙には「同性愛、盗み、虚偽、毒薬……無目的な混乱と不安定な精神が、
やがて情熱へと発展し悲劇的な死にいたるまでの姿を、鋭利な刃物のような言葉で描く小説詩。」
とありますが、かなり美しく結晶されたお話なので、思ったほど衝撃的ではありません。
いったい、なにが恐ろしいかというと……。
彼らの、いや、メインで活躍するポールとエリザベートの精神的な”病気”が怖いんですね。
読んでいて、こっちまで病気になってしまいそうな感じになりました。
どんなに必死で生きても、調子っぱずれでみずから悲劇をたぐりよせてしまうような、
そんな「心の病」が伝染してきそうな小説なのです。
主人公は四人の孤児たちです。
彼らは父親がアルコール依存症で病死していたり、母親がコカイン中毒でガス自殺を
していたりします。
(ただし、四人のうち、姉弟であるのはエリザベートとポールの二人だけ。
ポールの友人として絡んでくるジェラールと、後にやってくるアガートという少女は
まったく偶然に知り合った孤児たちです)
お話の始まった時点では、彼らの親代わりをしている人物は生きているのですが、
お話が進むにつれて病死してしまうのです。
たちまち生活苦にまきこまれてしまいそうなものですが、このお話では
うまい具合に生活を助けてくれる人がいたり、遺産を相続することで奇跡的に裕福で
自堕落な生活を続けてゆくことができてしまうのです。
足の踏み場もないほどに、紙切れや本や汚れた下着類が山積みになった部屋で、
子供たち(といっても十六歳から十四歳くらいなのですが)は無秩序な共同生活を送るのですが……。
この「恐るべき子供たち」は、さらっと読むと
”ちょっと風変わりで、悲劇的な最後を迎えるお話”でしかありません。
背表紙には「同性愛、盗み、虚偽、毒薬……無目的な混乱と不安定な精神が、
やがて情...