「真摯な努力」の判断について、裁判所が考慮している要素を裁判例から抽出すると、以下のようになる。
?中止行為が行為者の意思によるものか
?第三者(医師・警察官等)に対する事情説明の有無、その内容の真偽
?行為者の態度
?行為者の地位(素人かどうか)、年齢
?行為者の関与の度合い
?中止行為(救護措置等)の内容、程度
?実行行為と中止行為との時間的接着性
?被害者の法益(生命等)の排他的依存性
など
このうち、?〜?は主観的要素、?〜?は客観的要素という側面が強い。
中止犯のまとめ
1.着手未遂と実行未遂の区別
着手未遂となるためには、①必要性、②可能性、③認識という3要件が必要である。どれか1つでも
欠けると実行未遂となる。
要件①(必要性)が欠ける場合とは、例えば、1発目が命中し、致命傷を与えたために2発目を撃つ
必要がなくなった場合である。
要件②(可能性)が欠ける場合とは、例えば、1発目が外れたためさらに撃つ必要があったが、弾は
その一発しか装填されていなかった(弾切れ状態だった)ので、2発目を撃てなかった場合である。
要件③(認識)が欠ける場合とは、例えば、1発目が命中し、かすり傷を与えたが、致命傷を与えた
と思って2発目を撃つのをやめ...